対談「社会とリーダーシップ」

グローバル社会転換期の今を生きる知恵とは?

2018/07/20

立教を選ぶ理由

OVERVIEW

グローバル企業に勤務する立教OBと、リーダーシップを学んできた立教生が、グローバル社会の今とリーダーシップについて語り合った。

グローバルな環境への向き合い方とは

荒巻 快哉さん

荒巻 まず、菅野さんは“グローバル”というと、どのような状態をイメージしますか?
菅野 人種や文化がミックスされた状態でしょうか。海外研修でシリコンバレーの多国籍企業を訪問したとき、食堂に当たり前のように各国の食文化が並ぶ光景を見て、日本のグローバル化の遅れや自分の世界の狭さを思い知りました。
荒巻 海外に行くと、地域によって文化や歴史、成熟度が大きく異なることに気づきますよね。タイムトラベルをした感覚になることすらあります。だから私は、海外で仕事をするときには必ずその土地の成り立ちやカルチャーを下調べしています。
菅野 確かに、異なる文化をもつ人と接するとき、相手の文化を理解しておくと、コミュニケーションがより円滑になるように思います。
荒巻 そうですね。自分がいる組織や国は、1つの環境、1つの常識に過ぎないという認識をもつことが必要です。ビジネスの現場では、ミスコミュニケーションが生まれると信頼関係は簡単に崩れてしまう。さまざまな価値観をもつ人と協働するグローバル社会では、相手を深く理解するスキルを磨くことが、何よりも大切なことです。

グローバル社会転換期の今

菅野 将貴さん

荒巻 ところで、VUCA時代※とも称されるように、社会の潮流が変わり目に差し掛かっています。世界規模で、これまで安泰だった市場を揺るがすほど変化が起きた業界も出てきました。組織も個人も、どうこの変化を見極め、対処するかが重要になってきていますね。
菅野 「変化を見極め、対処する」とは、どういう行動をイメージしたら良いでしょうか?
荒巻 会社の経営を道のりに例えれば、道の先に予期せぬ事態が起こることも多々あるでしょう。でも視野を広く、視点を柔軟に保つことで、変化をいち早く察知できます。そのうえでチームと危機感を共有し、乗り越えるためにすべきことを思考し、協働するのです。
菅野 私が立教で学んだリーダーシップを発揮する力「思考力・協働力・変革力」にも重なりますね。変化を正しく見極める力を養うために、学生のうちから社会と積極的にかかわって多様な経験を積むことが必要だと感じます。

※VUCA…Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った、予測不能な状態を表す造語

今を生きる知恵「思考力・協働力・変革力」

菅野 立教には、思考力・協働力・変革力の教えがありますが、これらの力は社会でどのように生かせるでしょうか。
荒巻 私の経験からお話しします。中国赴任時代に、工場で働く約2万人の社員の人事労務管理をしていたのですが、当時の中国は高度経済成長期の日本のような様相で、私の居た広東省は世界の工場と呼ばれ、労働力不足が慢性的に発生。農村から多くの若者が出稼ぎにきていました。毎月千名規模の採用活動、社員の離職リスクへの対応、最低賃金の大幅な上昇による給与改定等、日々対応に追われました。そこでは自分が今まで培ったスキルや常識が全く通用しない。そこでいったん、自分がもつ常識は忘れてみようと考えたのです。「学びなおし(Unlearning)」ですね。置かれた環境を理解しようとすることで初めて、周囲の人と協働できる。そのうえで、ゼロベースで思考し、課題を見つけて対応する。
菅野 相手の立場で考えて自分の価値観を柔軟にシフトするという思考で、協働力を発揮されたのですね。
荒巻 そうです。協働する相手と共通認識をもって、現状の課題解決にあたる。社会に出てリーダーシップを発揮する場面で、思考力・協働力・変革力は必ず必要になる力だと感じます。

知恵を育む、自由の学府の「立教」

菅野 学生のうちに、何かを変革するのはなかなか難しいように感じますが、どのように身につけられるでしょうか。
荒巻 立教には、視野が広い学生が多いですよね。「自由の学府」という理念があって、学生が自由に動ける風土がある。
菅野 そう思います。諸先輩方もさることながら、立教GLPの履修生は特に、学外にコミュニティをつくるなど積極的に動いている印象です。
荒巻 それに立教は留学生も多く、海外経験豊かな先生による授業等からも多様性を学べます。そこから世界を見る。学内の人を通じて世界を知り、そこをステップにするとグローバルの素養も養えます。そのうえで、自分が帰属しているものを変えてみようと常に意識してみてください。たとえば最も身近な「家」で考えると、仮に母親だけが家事をやっていたとしたら、それをおかしいと考えて家族がそれぞれ家事を分担するとか。
菅野 小さいことでも、一人ひとりが当事者意識をもって周りに働きかける。人に頼らず、各々がリーダーシップを発揮することが、環境を変えるきっかけになるのですね。相手を尊重しつつ、自分自身のリーダーシップを積極的に実践していきたいと思います。

プロフィール

PROFILE

荒巻快哉さん、菅野将貴さん

荒巻 快哉さん
ソニー株式会社 人事センター 2003年 法学部法学科卒業
2003年立教大学卒、ソニー株式会社に入社。北京語言大学へ留学を経て2009年から4年間、中国本土・香港で人事総務及び海外赴任者管理を担当。2013年からは本社改革及び人事制度/インフラ改革支援等の組織変革ミッションに従事しつつ、新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program」(SAP)発の社内スタートアップの人事労務、SAP米国拠点Takeoff Pointでの人材育成事業の企画/運営等を担当し、現在に至る。

菅野 将貴さん
現代心理学部 映像身体学科3年次 静岡県 静岡東高等学校
1年次にグローバル・リーダーシップ・プログラム(立教GLP)を履修。2年次はSA(スチューデント・アシスタント)として、教員と共に当プログラムの運営も経験した。将来はグローバルに働くことを目標に、現在は学業の他に外資系企業で長期のインターンシップを行っている。

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