「RIKKYO ゴールボール架け橋プロジェクト」ゼロからの挑戦を振り返って

コミュニティ福祉学部福祉学科4年次 節丸 真愛さん

2025/02/17

立教生のキャンパスライフ

OVERVIEW

2024年12月2日、コミュニティ福祉学部学術推進資金のご支援を受け、新座キャンパスで「RIKKYO ゴールボール架け橋プロジェクト」を開催しました。パリパラリンピック金メダリストを含む現・元ゴールボール日本代表の男女選手5名、スタッフ1名にご協力いただき、ゴールボール体験会(約3時間半)と交流会(約1時間半)を実施。準備から当日の運営までを担った、節丸真愛さん(コミュニティ福祉学部福祉学科4年次)が報告します。

開催の経緯

当日の様子(前列左から、節丸さん、萩原紀佳選手、田口侑治選手、金子和也選手、佐野優人選手、高田朋枝選手。中列左、スタッフの徳永梨沙さん)

みなさん、ゴールボールをご存知でしょうか?3人対3人で目隠しをして対戦し、鈴が入ったボールを投げ合いながら音を頼りに攻防するパラスポーツです。私は高校時代にこの競技に出会い、大学1〜3年次は日本代表強化指定選手として活動させていただきました。ゴールボールでかけがえのない仲間と経験を得てきた私は、まだマイナーなこの競技をもっと広げていきたい、障害の有無を超えてより多くの人に楽しんでもらいたいと強く思っています。そこで、ゴールボールの魅力を1日にギュッと詰め込んで体感してもらえるイベントを作ってみたいと考え、実現のために「立教大学コミュニティ福祉研究所学術研究推進資金」(※)に応募を決めました。

(※)学術研究の推進を格段に図ることを目的に、学外との連携や大型外部資金の獲得を視野に入れた高度にして独創的な研究プロジェクトを助成する
一人では実現できない自覚でしたが、4人の仲間(※)が運営に加わってくれました。半年間ミーティングを重ね、私たちなりの視点を生かした最高のイベントを目指してアイデアを出し合い、協力して準備を進めました。特にこだわった点が2つあります。1つ目は、「ルールや大まかな競技特性を“知る”だけにとどまらず、体験を満喫してチームで勝利を目指してみるからこそ感じられるゴールボールの奥深さを伝えたい」ということ。工夫のひとつとしてミニ大会の形で体験を進めることにしました。2つ目は、「“ゴールボールに熱を注ぐ選手たち×ほぼ初めて触れる立教生”の双方向の交流を生み出したい、そしてお互いの視点の掛け算でゴールボールの価値と未来を考えられる機会にしたい」ということ。体験後に交流会を設け、どんなコンテンツがあれば楽しく深く交流できそうか、シミュレーションもしながら考えました。

(※)コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科3年次 鶴岡美怜さん、スポーツウエルネス学部スポーツウエルネス学科2年次 矢端未結さん、コミュニティ福祉学部福祉学科2年次 齋藤花凜さん、コミュニティ福祉学部福祉学科2年次 星梢さん

当日の様子

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約1分半の動画(制作:鶴岡さん)にて当日の様子をご覧ください。

ここからは写真とともに紹介していきます。

<体験会>
1年生から大学院生まで幅広い学年から約20名が参加してくれました。まずはアイスブレイクとして見えない状態でコミュニケーションを取るゲームに挑戦。ゲスト選手たちにも参加していただき、とても盛り上がりました。

アイシェードをした状態でグループを作るゲーム、声や手拍子が鍵に

選手たちのレクチャーのもと、ディフェンスの姿勢を練習

基本的なルールと動きの説明、練習を終えるとチーム発表です。4チームに分かれて、ミニ大会(総当たり戦+決勝トーナメントで各チーム計5試合)を行いました。それぞれのチームにはゲスト選手がコーチ役として入り、メンバーが思いきりプレーして楽しみ尽くせるように優しくサポートしてくださいました。

あちこちから聞こえてくるのはいつの間にか誕生したそれぞれのチームオリジナルの円陣!

みんなを引っ張ってくれる選手たちを中心にチームも一致団結

試合間にはゲスト選手によるミニ講座と題して、ゲームで鍵を握るチーム内コミュニケーションや攻撃の組み立て方、移動攻撃・フェイク・速攻といったゴールボール特有の戦術を伝授していただきました。教わった戦術に次の試合でどんどんチャレンジする参加者の姿もとても印象的でした。

フォームがカンペキであるがゆえに、方向感覚を失っている様子が見学者たちのツボに

感覚を研ぎ澄ますからこそ、味方の攻撃を応援する気持ちと距離感を掴めない怖さが入り混じる

周りが見えなくて不安になるからこそ、チームメイトたちの声が勇気をくれる!

エキシビションのゲスト選手VS学生選抜チーム、容赦のない攻撃に会場も大盛り上がりに

ミニ大会後はゲスト選手たちによるエキシビションマッチを観戦し、迫力溢れるプレーに驚きと感動の声が絶えない時間になりました。

<交流会>
体験会後は教室に移動し、交流会。ゲスト選手への質問会や彼らも交えてのグループワークを行いました。

競技を始めたきっかけや選手として大切にしていることなど、輪になってアットホームな質問会

ゲスト選手×立教生だからこそできる新しいアイデアが次々と

グループワークの後半では「もっと多くの人がゴールボールをプレー・観戦して楽しむためには?」をテーマにアイデアコンテストも行い、それぞれのアイデアに選手からのフィードバックもいただきました。以前授業で学んだラテラルマーケティングの「代用・逆転・結合・協調・除去・並び替え」の6つの視点を導入として紹介しながら、完璧や正解を追い求めるのではなく立教生とゲスト選手の視点を掛け合わせるからこそ生み出せる自由なアイデアを目指してもらい、新鮮でワクワクする提案ばかりでした。

ワークショップ終了後も会話が盛り上がり、選手からメダルをかけてもらう場面も

イベント全体を通して、あたたかい雰囲気に包まれており、参加者の心から楽しんでくれていた様子がなにより印象深く、全員で濃密な時間を共有できたと実感しています。

イベント運営を通しての気づき

準備の過程を振り返ると、ゲストの皆さまをはじめとしたゴールボール関係者や学内の各部署の方々など、学生同士にとどまらずさまざまな方と連携させていただいたことが新鮮な経験でした。さらに、自ら立案した企画で、どのように仲間の力を引き出していくかやビジョンの共有、役割分担の仕方など、自分のリーダーシップに向き合いチーム協働の難しさと楽しさを改めて実感する機会になったと感じています。

また、地道な準備を丁寧に進めるからこそ、実現が見えてきてワクワクできると気がつきました。参加者募集のチラシ作成や広報活動、ゲストとの打ち合わせ、備品の準備・手配、タイムテーブルやスライドの作成、チーム分け、当日のオペレーションの整理…。さらに、「優勝に加えて個人賞も作って賞状も渡したい」「BGMを流して盛り上げたい」「最後にサプライズで1日を振り返る動画を流したい」などクリエイティブな案が出るほど必要な準備も増えましたが、当日それらがつながっていく喜びは何にも代えがたいものでした。企画を形にしていくフローを一貫して経験できたことは大きな財産になったと感じています。ゼロからの企画で大変なこともたくさんありましたが、仲間とともに挑戦すること、「場」をデザインすること、そしてゴールボールというスポーツが大好きな自分に改めて気づくことができました。

次のアクションへ

私は大学生活でゴールボールに熱を注ぎつつ、授業ではゼミ活動やGLP(グローバル・リーダーシップ・プログラム)を通して「チームで協働して何かを形にする」ことに挑戦し、試行錯誤を続けてきました。GLPではStudent Asistantも経験させていただき、ファシリテーションや場の設計にも半年間向き合いました。その学びの全てを詰め込んだのが今回のプロジェクトになったと感じています。4年間たくさんの出会いと支えのおかげで紡いでこられた大切な経験と学びが1つの形としてつながったことをとても嬉しく思っています。

イベント終了後には、ゲストの皆さまから「今後も立教大学とコラボしていきたい」とありがたいお言葉をいただきました。また、運営振り返りでの仲間の言葉が印象的でした。「この企画に意義があるとするなら、多分それは次のアクションに動かせたその時だと思う」。今回得た気づきと学びを力に、次は何ができるか。一歩ずつ成長しながらこれからも挑戦していきたいと思っています。応援してくださる方、ゴールボールを通して笑顔を交わせる仲間の輪が広がっていけば本当に嬉しいです。

最後に、一緒に走り抜けてくれた運営チームの仲間はどこまでも心強い存在です。そして、ご協力いただいた選手・スタッフならびに日本ゴールボール協会の皆さま、多くのご指導とご支援をいただいた先生方・コミュニティ福祉研究所の皆さま、興味を持って参加してくれた学生のみなさん、携わってくださった全ての方のおかげで、「やりたい」という想いだけで始まったこの企画を実現できたのだと思っています。本当にありがとうございました。

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