価値観と社会の見え方を変えた国連ユースボランティア活動経験

グローバル教育センター

2023/04/18

RIKKYO GLOBAL

OVERVIEW

国連ボランティア計画(UN Volunteers)が大学と連携し、ボランティアとして学生を開発途上国へ派遣するプログラム、 国連ユースボランティア。2022年度の立教大学からの派遣者に活動から得た気付きをうかがいました。

千葉 奏美さん/Kanami Chiba

  • 学部・学科:社会学部社会学科
  • 派遣年度・派遣時年次:2022年度派遣(派遣時学年:3年次)
  • 派遣先国・都市:東ティモール ディリ
  • 派遣先機関:UN Women
  • 現地活動期間:2022年9月~2023年2月

◇参加のきっかけ、目標を教えてください

大学入学前に立教大学について調べていたところ、このプログラムの紹介サイトを見つけました。漠然とした国際機関への憧れがあった私にとって、大学生でも国連で活動できるのかということに驚き、また、入学できたら絶対に応募しようと決めていました。入学後には、このプログラムに参加するにはどのような経験、スキルが必要かということを考えながら、大学生活を送っていました。参加当時の目標は、自分の進路を明確にすることです。

◇派遣先機関と今回携わった業務を教えてください

派遣先はUN Women東ティモール事務所です。その中で、WPS (Women, Peace and Security) &DRR (Disaster Risk Reduction) プログラムをサポートする役割を担当しました。具体的には、政府機関におけるジェンダー平等や、災害下において被害を受けやすい脆弱性をもつ人々に対するエンパワーメントを行う業務に携わりました。東ティモールでは、女性の経済的自立が難しく、また文化的、歴史的な背景を理由に暴力被害に遭ったり、災害時に避難が遅れて犠牲になったりしています。そのような現状を克服していくためのトレーニングを運営したり、戦略を立てるにあたってのサポートをしたりしました。

◇印象に残っている活動を教えてください

政府機関へのトレーニング

政府機関に対するジェンダーと防災の知識をインプットするためのトレーニングです。ジェンダーとは何かというような基本的な内容から、国際的なジェンダー平等に関する枠組み、さらに、自分達の防災の仕事にジェンダー平等のための概念をどう取り込んでいくのかという発展的な内容まで扱いました。私は国際的な枠組みについてのインプットを行うセッションを担当しました。政府機関で働いている人に対してセッションを組むという経験は本プログラムならではの活動であると思います。また、そのトレーニングの参加者に取材をし、参加者の変化を記事にまとめるという業務も担当しました。この業務では、国連の中で広報物を制作することの難しさを学びました。

◇活動中苦労したことはありましたか。それをどのように乗り越えましたか

同僚とともに

苦労したことは、東ティモールの政府機関やパートナーの名称を覚えることや、UNやUN Womenが行なっているプログラムの内容と名称を一致させることです。たくさんのミーティングに出席して、見たり聞いたりしながら覚えました。また、国連ならではの英語やライティングスキルを実践的に使っていくことしていくことに苦戦しました。自分で調べたり、上司に教えてもらった参考になるドキュメントを読んだり、上司からのフィードバックを通じて勉強しました。総じて、経験を通じて学んでいくことが一番有効的であるように感じました。

◇自身の考え方やスキルに関して変化や成長はありましたか

まず考え方に関しては、社会の見え方が変わりました。例えば、なぜ日本の道路は常にこんなに綺麗に整備されているのか、日本の法制度や政府機関の役割はそれぞれどのように出来上がっていったのかなど、政府の支援を行なっていたからこそ、日本や世界各国のガバナンスの仕組みを多角的に見ることができるようになり、同時に、もっとよく知りたいという気持ちが芽生えました。
スキルに関しては、海外で活動するために必要なさまざまなプロセスを自分一人の力で乗り越える力がついたと思います。このプログラムでは、自分で責任を持って各種プロセスを英語で進めていく必要があります。この経験から、マネジメントスキルやコミュニケーションスキルが身につきました。

◇活動を通して、特に国際協力に関して、どんな学び・知見を得ましたか

開発途上国へ支援に来ていても、どの組織に属するかによって、できることや任される役割が大きく変わるのだということを学びました。私は国連に属していたので、私たちからみる日本政府はドナーという立場であり、日本政府とやりとりをする際にはどうやったら日本からの資金が東ティモールの女性の権利のために有効的に使われるかということを考えながら活動をしていました。また、日本からの資金が開発途上国で具体的にどのように使われていて、何に貢献しているのか、その資金の使われ方にどのような意味や課題があるのかなどといった、現場でしか感じることのできない困難や仕事のやりがいを見つけることができました。

◇国連ユースボランティアでの経験を今後どのように活かしていきたいと思いますか。

今回生まれたコネクションを大事にしながら、自分の専門性を磨き、経験を積んで、また国連の現場に戻れるように努力していきたいです。具体的にはまだ決まっていませんが、自分が興味を持って、楽しんで学んでいける分野を見つけて、それがどのように国際社会において貢献できるかを考えていきたいです。

◇参加を考えている方へメッセージをお願いします

参加することで、自分の当たり前が当たり前ではなくなる瞬間を味わうことができます。そして、私たちの生活を構成している一つ一つがどのような意味を持つのか、なぜ存在しているのかを考えるための新たな視点がひらけてきます。自分の力を国際機関で試してみたい、自分が将来どのような人になりたいのかを国際的な場で考えたいという人は、ぜひ勇気と情熱を持って一歩踏み出してみてください。自分自身の価値観を大きく変える意味深い経験となるはずです。

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