2025/01/24 (FRI)

【資料紹介】「渥美火力増設反対運動資料」(S16)について(2): 整理方法

共生社会研究センターRA(リサーチ・アシスタント)
立教大学大学院文学研究科博士後期課程 阿部晃平

このコラムをご覧のみなさん、こんにちは。共生社会研究センターRAの阿部晃平です。今回は渥美火力増設反対運動資料の整理方法についてご紹介していきたいと思います。

整理方針

写真1 整理前の書架

本資料群は、愛知県渥美町の産婦人科医であり、「渥美の公害勉強会」の創設者でもある北山郁子氏から、2006年5月に埼玉大学共生社会教育研究センターが受贈、2012年に立教大学共生社会研究センターに移管されました。ほぼ書架3面を埋め尽くす膨大な資料群で、ファイル単位で560点ほどの資料から構成されています。丁寧に整理されたファイルから、書籍、マイクロフィルム・写真などの非文字資料、一枚のビラやチラシにいたるまで、さまざまな資料がそこに含まれています。整理開始時点では、ファイルやボックスのあいだに封書やビラが挟まっているなど、配列がかなり混乱していたため、資料の形態ごとに7つのシリーズに分けて整理しました。
シリーズ1:直筆ノート
北山氏によって書かれた直筆のノートから構成されています。勉強会や講演会のメモ、北山氏の個人的な勉強の記録などが記されており、まさに運動の当事者の生の声を伝える資料でもあります。
シリーズ2:テーマ別資料(フラットファイル)
このシリーズには、受贈された段階ですでにファイリングされていた資料が収められています。ファイルは各テーマごとに丁寧に整理されています。運動を伝える新聞記事の切り抜きや論文のコピー、ミニコミを通巻で綴じたものが多数を占めています。
シリーズ3:各地の運動資料(ボックス)
受贈時点でプラスチックボックスに詰められていた資料です。各地域の住民運動に関するビラやチラシ、レジュメなどから構成されており、おおむね地域ごとに整理されています。
シリーズ4:封筒入り資料
この資料群には封筒に入れられたままの資料が多数含まれていました。大半が北山氏に宛てられたもので、それ自体がひとつの構成単位となっているため、解体せず独立したシリーズとしました。「渥美の公害勉強会」が全国各地の住民運動の連絡事務所となっていたことを示唆する資料とも言えます。
シリーズ5:冊子
独立した書籍や雑誌、ミニコミなどの冊子をまとめたシリーズです。シリーズ5と同様に、他地域の資料も数多く含まれています。
シリーズ6:ビラ・チラシ類
この資料群のなかでもっとも整理が難しかった資料が、1枚1枚の独立したビラやチラシです。先にも言及した通り、渥美町では増設反対派と賛成派のあいだで多くのチラシが交わされていました。その残部や新聞のスクラップといった断片的な紙資料が大量に含まれていました。重複分は取り除き、いくつかのテーマごとに分けてファイルにまとめました。
シリーズ7:写真・スライド
以上の文字資料のほか、多くの写真とスライドフィルムが残されています。その多くは、講演会や勉強会、実地調査の際に撮影されたものです。

写真2 整理後の書架

この資料群に含まれているビラやチラシ、切り抜き記事の多くは、渥美の公害勉強会編『渥美火力発電所と渥美の住民』(資料ID333, 334)および『記録・渥美の住民運動1・2』(資料ID393, 394)で網羅的に整理されています。『記録・渥美の住民運動1』の巻末に附されている年表は、10年にわたる闘いの軌跡が詳細に記録されており、今後の住民運動研究の重要な資料となることでしょう。

お問い合わせ

立教大学共生社会研究センター

電話:03-3985-4457
E-mail: [email protected]

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